特に収支見通しや計画経営の重要性を語る時、その話を聞く経営者の意識や見識のレベルの低さが気になることがあります。しかしそれは《危険な誤解》かも知れません。
そしてその《誤解》を克服しておかないと、中堅中小企業の経営指導は、容易に暗礁に乗り上げてしまうのです。なぜでしょう。そして、どうすべきなのでしょうか。

1.経営は《パッケージ》では語れない!

経営に関わる専門見識は、いわば《経営のあるべき論》です。それは一つの完成形としては意味を持ちます。しかし、実践経営には完成に至る《現実的な段階》があるのです。
たとえばA社では、見通しや計画どころか、経営者が《決算数値》を的確に把握できないままでいるかも知れません。B社では《資金管理》とは、不足資金を金融機関から借り入れる、いわば営業活動のようなものだと捉えているかも知れないのです。
またC社は、予算や計画に関わる《経営者の仕事》は目標提示であり、具体策は現場が考えるものだと思い込んでいそうです。そのため、現場の指導や管理が苦手です。
もちろん実際には、もっと経営者の意識や経営力は多様性に富んでいるでしょう。

2.完成形を提案しても反響は得られにくい?

そんな中で、たとえば『予実管理や経営計画は《こうする》ことなのですよ』と、パッケージ的な手法やノウハウを開示しても、経営者にはピンと来ないのが普通なのではないでしょうか。
仮に、その手法やノウハウに共感する経営者がいたとしても、ほとんどのケースで『ゴールは分かった。しかし、そこに至る入り口や道筋を知らなければ一歩も進めない』と、本音ベースでは感じているはずなのです。
本音は、それがどんなものであれ、専門的な理論からすれば未熟なものです。そして、その未熟さを自覚する時、私たちは成長を求めるのでしょう。

3.個々の経営者の必要レベルで問題を解消

そのため、入り口が分からない人には、まずは《決算分析》や《決算上の問題》を共有しながら《身近な改善点》を探すことから始める必要が出て来ます。経営者は社内に目標さえ示せばよいと捉えている人には、『シミュレーションしてみなければ、現実的な目標は作れない』と知らしめなければなりません。
予算や計画等は、机の上のお遊びだと言う経営者には、『あなたは現状を客観的に(数値で)把握しないまま、経営判断ができているのか』と問わなければならないでしょう。そして『判断のミスや遅れは深刻な問題につながる』と指摘しなければなりません。

4.面倒な下準備の一つひとつがビジネスの元

『何と面倒な』と言いたくなりますが、実は『できない人ができるようになるために、その不足点を指導しながら一緒に乗り越える』ことが、専門ビジネスの中核とも言うべきものであるはずです。できる人には《指導》は不要だからです。
つまり、できない人に一歩ずつ《できる》ようになるための階段を作ることが、専門ビジネスつまり《コンサルティング》の本質だということです。
ただ現状では、多くの会計事務所が、有料の予実管理や計画手法を提案するために、無料で経営者の意識を変えようとするため、それが面倒な作業に映るのかも知れません。

5.初歩から始めてステップアップ:指導の姿

経営指導の本質は、完成形を売ることではなく、そこに至るステップアップ活動を、ビジネスとして(有料で)経営者に提供するものです。ここを取り違えると、経営者の意欲が見えて来ないばかりではなく、会計事務所の《有料指導機会》も見失いかねません。
極論すれば、『当期の決算の方法の《どこ》が《どう》問題で、決算結果の《何》を問題とすべきか』を語ること自体を、有料指導機会にすることさえできるはずなのです。
飲食店で定食を注文した後、追加でデザートを頼むと、デザートは有料になります。同様に、たとえ顧問契約をしていても、特定の経営者に対する特定のサービスを、無料にする必要はありません。

6.経営者の指導を容易にする重要な技術!

そのため、専門業の経営指導(コンサルティング)には、《指導見識》ばかりではなく、もう1つ《提供業務の有料化の技術》が必要だと言われるわけです。
それが《金儲け主義》と揶揄されることもないとは言えません。実際、ビジネス社会においては、善良な経営指導者ばかりではないからです。
しかし、有料化すること自体に重要な意味があります。なぜなら、そうすることで、経営者が指導の重みを感じるだけではなく、むしろ『自分で取り組みたくなる』からです。
『経営者が自分で経営計画等に取り組んだら、会計事務所の収入源がなくなる…』と、お思いでしょうか。それは専門分野を持たないコンサルタントの発想で、専門機関としての会計事務所なら『ああ、ようやく経営者に専門見識で支援するだけで、ビジネスが成り立つ時が来た』と感じられるはずなのです。

7.経営指導の最終形は《相談受付》顧問契約

そんな流れの中で、経営指導は初歩的な作業から順次高度化して行き、最終的には《経営者の相談役》に落ち着くイメージになって行きます。税制ばかりではなく、世の中は常に変化しますから、《相談》が皆無になることの方が稀なのです。
その《相談受付》のための顧問契約は、現状の会計事務所の顧問契約と似ていますが、極論すれば《決算代行をしなくても結べる契約》になるはずなのです。そして、そんな形態が実現するなら、ITやAIが進んでも《智恵や見識の提供契約》は脈々と生き残るわけです。

8.業務有料化の技術は専門見識を生かす基礎

以上のような捉え方から、この特設コーナーでも、まず『一見平凡に捉えられる業務を有料化する発想(商品案内はこちら)』をベースにしています。
更に、企業の経営陣に計画経営の重要性を意識させる提案法や話法について、ご一緒に考えます。そして、提案書やセミナー・キット等の実践ツールをご提供することで、現実的に計画経営に取り組む経営者を増やして行こうとするわけです。
なお、ここでの計画経営には事業承継や相続対策を含みます。それらのテーマは、計画意識なしに取り組めるものではないからです。

9.このコーナーの役割と狙い

お急ぎの方には《即時実践ツール》をご用意していますが、このコーナーで、様々な課題や実践例をご一緒に捉えながら、中堅中小企業の経営力強化法のイメージ共有をも大事にして行きたいと考えています。
もはや、中堅中小企業も《頑張り》だけでは苦境を乗り切れなくなりましたし、中堅中小企業が活力を失えば、日本経済の復興など、望むべくもないからです。

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