『目先のことで精一杯なのに、計画経営などに構っていられない』という経営陣に、『目先しか考えないから目先のことで精一杯になってしまう』と分からせることはできるのでしょうか。今、それが会計事務所への新たな期待になって来ています。

1.《遊び》でさえ計画なしには楽しめない

たとえば、バーベキューを楽しもうとする時でも、計画的に材料や器具を集める人と、行きあたりばったりの人とでは大差が出ます。中には、材料も器具も用意したのに『炭を忘れて来た』として、楽しめないどころか、損を出す人もいるでしょう。
ただバーベキューなら多分、場所の特定や参加者募集等を含め、計画的な準備をしない人はいないでしょう。
では、バーベキューなら《当たり前》なのに、それよりはるかに大事な《ビジネス》では、なかなか計画性が当たり前にならないのは、なぜなのでしょうか。

2.ビジネスで《計画性》が軽視される理由

もちろん、経営者は計画性を軽視しているわけではないと思います。ただ恐らく『計画経営のイメージが湧かない』のでしょう。
予実管理と言われても、手間をはるかに超える成果が出せるのでしょうか。経営計画は絵に描いた餅に終わらないでしょうか。事業承継計画は、後継者が育たなければ無意味なのではないでしょうか。
つまり、大事でないからではなく、『イメージできないから重視できない』というケースが多そうなのです。

3.計画の効用を《イメージ》できない…?

計画の必要性がイメージできないのは、予算であれ経営計画であれ事業承継計画であれ、計画に向き合おうとした時に、先々”どうなるだろう”と考えてしまうからです。
先々”どうなるか”は、考えれば考えるほど分かりません。そして”どうなるか”が分からないのに、その対策としてのプラン等作れるでしょうか。それ以上に、作って意味があるのでしょうか。
そんな気分に至っても、無理はないと思います。

4.発想を少し変えるだけで計画意識が発生

そこで、先行き《どうなるか》という発想を、《どうしたいか》という発想に変える努力に取り組みます。
もちろん最初は『もっと事業を大きくしたい』とか、『もっと楽に利益を出したい』等と、抽象的な発想しか生まれないかも知れません。もちろん、世の中が成長力を維持していた頃なら、それでも《ある程度の計画性》の素になったでしょうが、今では多分《どうにもならない》という結論にしか至らないでしょう。
しかし、それでも少し《計画意識》が芽生え始めているはずなのです。

5.更に進んで《やり残し》を具体的に探す

そこで、少し進んで『やり残していることがある』と具体的に考えてみます。たとえば、『こんな客層を相手にしたかった』とか、『この工程で、もっと機械化を進めたかった』とか、『少し改良すれば売れると思える商品を、本気で改良してみたかった』とか、『金融機関に頼り過ぎない資金繰りに取り組みたかった』等、何でもよいと思います。
すると、そこに『まず考える時間を作ろう』『そして考える材料を入手しよう』『相談先や協業者も探してみよう』『従業員の中から適任者を選んでみよう』等という《行動イメージ》が生まれやすくなるのです。

6.行動イメージにつながる発想こそが大事

つまり、《どうしたいか》あるいは《何をやり残しているか》を考えることで生じる《行動イメージ》が、計画意識の起点だと申し上げたいのです。
もちろん行動イメージが浮かばなければそれまでですが、それでも《繰り返し考える》機会を持つと、『世の中がどうなるかって、私たちのような規模のビジネスには、あまり関係がない。それより、私たち自身が”どうするか”が問題なのだ』という意識が、芽生えやすくなるはずです。

7.現代の経営陣に求められる強烈な反省!

そのため、『ああ、自分は”どうなるか”ばかりを考えていた』という強烈な気付きなしには、計画意識は生まれないと言えるかも知れません。そうだとしたら、《意識付け》から始めれば、経営陣の《計画性》を呼び起こせるとも言えそうなのです。
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8.的を絞ってコツコツと進む計画経営志向

状況に振り回されるだけでは、ロスや失望しか得られなくなった昨今、中堅中小企業が活路を見出すための《武器》としては、もはや《計画経営》しか残っていないと言えるかも知れません。
一気に成果を出す力も持ちにくい規模の企業では、少ない資源をコツコツと、的を絞って活用してゆくという計画発想が不可欠だからです。
そして単に『目先のことで精一杯』なのではなく、『目先のことに精一杯の努力を傾けて行くと、こんな成果が期待できる』と言える《計画経営志向》が根付くと、生き返る企業も少なくないと思います。そんな機会を、ぜひ、会計事務所と企業の《Win-Win》関係の構築の中で、生かしていただきたいと願ってやみません。

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