ホームページが過剰とも言えるほどに普及し、競争力や従来型のSEO効果が薄れる一方で、ユーザーのアクセススタイルが変わり始めている今日、これからのホームページ活用には、どんな留意事項があるのでしょうか。

1.SEOよりも効果的な検索対応方法?

実際『自社のホームページにSEO対策(検索エンジン最適化)を施して、“○○市 会計事務所“や“経営計画”等の希望のキーワードで《上位で検索》させて新規先を獲得する』という方法が、盛んにアピールされた時期もありました。ところが、いくらSEO対策を行っても《頻繁に情報を更新しているサイトにはかなわない》という状況が、既に出ています。
しかし、頻繁にホームページ内の情報を追加や変更するには、特にホームページの運用を外部に委託しているケースでは費用の問題も出て来そうです。そのため、昨今士業事務所の中でも《ホームページと、自分で容易に情報を更新できるブログを組み合わせた”ようなサイトへの関心が高まっているのでしょう。
ただ“ブログ”と言ってもその内容は、いわゆる日記的な情報ではなく、検索で上位表示を狙うキーワードに関連する情報である必要があります。

2.無料ソフトの“ワードプレス”が普及

ホームぺージとブログを組み合わせたサイトは、たとえば、無料ソフトである《WordPress(ワードプレス)》でサイト(ホームページ)を作成し、WordPressに対応しているレンタルサーバー業者と契約し、サイトを開設することで実現します。
ただ無料とは言え、WordPressを活用するホームページ作りは、システムについてある程度の見識がなければ、必ずしも容易とは言えません。そのため、ホームページの骨格作りは専門業者に委託し、《ブログ的文書=投稿記事》部分だけを、自社で頻繁に追加更新するという方法が、今、注目を集め始めているのです。
もちろん、WordPressのブログ的活用でも《システムの基礎学習》は必須ですが、自事務所へのソフト導入自体には費用が掛かりません。

3.スマホユーザーへの対策にも効果発揮

WordPressを活用すると、もちろん《スマホでサイトを読む人》への対応にも効果を発揮します。WordPressで作成したサイトは、パソコンでもスマホでも、その画面の大きさに応じて《自動変形(レスポンシブ)》してくれるからです。
もちろん、CSSとHTMLというプログラムを使うなら、新たなソフトのインストールの必要もなく、既存のパソコンから、スマホとパソコンの両方に対応したレスポンシブ・サイトを作ることは出来ます。しかし、デザインの問題や文書追加の容易さを考えるなら、今のところはWordPressに軍配が上がりそうです。

4.普通の業務ソフト分野でも日進月歩!

ただ、社外向けではなく、在宅勤務のための事務所内共有サイトを作ろうとするなら、CSSとHTMLの方がシンプルで良いかも知れません。その場合、Xampp(ザンプ)というサーバーソフト(無料)を活用すれば、そのソフトを普通のパソコンにインストールして、あたかも《サーバー》のように活用することが可能になります。その意味では、システムの見識や技能で、コストにも差が付く時代になったということなのでしょう。
ただ、AIやデジタル化というセンセーショナルな世界ばかりではなく、普通の業務ソフトの分野も日進月歩で進化しています。たとえばExcelでも、マクロ機能(VBA)を使えば、市販のアプリ顔負けのシステムを自作できるようにバージョンアップが進められているからです。

5.AIを懸念する以前に考えておくこと

昨今、『AIが普及し始めたら大変なことになる』と言われることもありますが、それ以前に、顧問先や関与先が普通のシステムの進化を追い掛け始めた時、士業事務所がどこまで《システム見識》を身に付けるかは、本当に重要な課題になったと言えそうです。
申し上げるまでもなく、システムは経営の重要な道具の一つですので、《経営支援者》としての立場を更に強化される先生方には、システム進化も、新たな助言や支援の題材になるはずです。そしてシステムに直接的に関わらなくても、システム活用の流れに対応できるように、顧客先の《経営実務を調整して行く》ことも、先生方士業の指導案件になり得るのです。
ただし、そのためには、システム知識以上に、システム動向を経営目線から把握しておくことが、益々重要になると思います。

6.このコーナーの狙いと目的

以上、デジタル化対応の第1歩として、まずホームページの問題を取り上げました。
ただ、このコーナーでは、いわゆる業務システム化の課題を広く捉え、システムに直接的に取り組む時にも、助言者として間接的に関わる時にも必要となる基礎情報を、順次取り上げて行きたいと思います。
もちろん、ここでご紹介する手法やシステム化に関しては、別途ご相談を承る準備にも取り組んでいます。

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