企業の業績改善支援は、一般的な会計事務所には難しいし、できたとしても手間が掛かり過ぎると言われることがあります。同様に、企業サイドからも『決算しか頭にない先生が、経営への助言ができるはずがない』という声が聞こえることもあるのです。しかし、そこには《両サイドからの大きな誤解》があると言えそうなのです。その誤解とは…。

1.経理見識は本来《事業の舵取り》に不可欠!

大企業には、経理・財務の統括担当役員がいるのが普通です。しかし、そんな専任役員がいない中堅中小企業では、役員会に際して、しばしば《経理の部長や課長》が呼ばれることが多いのではないでしょうか。しかも役員会に呼ばれた経理責任者には、《財務》分野の話題をふられることも少なくありません。中堅中小企業に《財務》に明るい人は、そんなにいないからです。
余談はさておき、役員会に《なぜ》経理のトップが呼ばれるのでしょうか。それは、マネジメントが《本来的に目指しているもの》に目を向けると、自ずと答が出るでしょう。

2.マネジメントが目指すべき3つの具体的課題

マネジメントが本来的に目指すのは、生き残りとか競争優位とか、利益拡大とかコスト削減とか、そんな抽象的な課題ではないと思います。経営者の多くは、そうした《経営用語》を、むしろ《言葉遊び》だと感じているかも知れません。そのため、《マネジメント》さえも言葉の遊びだと思い込む傾向があるのです。
マネジメントが目指すものは、自社事業の《①今時点での具体的な問題と可能性の芽の発見》であり、その発見によって《②目標化できる活動》《③達成する》ことにあると捉えられるのです。①発見、②目標化、③達成以外は、マネジメントにとっては《雑談》でしかないかも知れないのです。

3.3つの課題の克服手段を提供するツールと場

ところが、この①②③の3つの課題は、①決算上に数値として表れる問題や可能性、②予算を作るかどうかに関わらず経営陣が抱く次年度の期待値(目標)、③月次試算表を読み解きながら期待値を実現する調整力の3点に懸かります。
それが研究開発であれ、営業開拓であれ、更には企業間提携の模索であれ、基本的には変わりません。つまり、会社の経理あるいは会計事務所が作成する資料やデータがマネジメントの具体的な検討対象になっているわけです。

4.経理の情報がなければ経営は成り立たない!

ところが大企業の役員陣でも、皆が財務諸表が読み解けるとは限りません。実務を経験していても、役員になってしまうと《今年度の決算の詳細》は掴めません。中堅中小企業の役員会でも同様でしょう。そこで、経理のトップが《呼ばれる》わけです。
ただ、更に悪いことには、中堅中小企業では《経理責任者》が財務諸表の全てを把握しているとは限らないのです。ただ、決まり通りの記帳をし、それを表にまとめているだけかも知れないと言うことです。かくして中堅中小企業では、しばしば《マネジメントの芽》が発芽しないままファイルされてしまうことが多くなるのです。

5.中堅中小企業経営は意識が低いわけではない

会計事務所の先生の中からも、『中堅中小企業の経営陣は、計画経営(マネジメント)に興味はないし、興味を持っても見識が追いつかないから取り組めない』という指摘を聞くことがあります。その指摘は的を射ているのでしょう。
しかしその理由は、経営陣の見識が低いからではなく、マネジメントの基本道具を《おろそかにしている》からに過ぎないとも言いたくなるのです。バットを持とうとしない野球選手が、ヒットを打てるはずがありません。逆にどんなバットでも、それを持ってバッターボックスに立てば、当たるかも知れないのです。

6.野球上でのバットは経営では何にあたるか?

野球選手が《優れたバットを持つ》のに類するのは、経営陣が《決算書を読めるようになる》ということでしょう。そして《取りあえず持つバット》は、経営陣が《決算書は読めなくても決算がマネジメント上不可欠な道具》だと自覚することに似ていると思います。
そんな自覚さえ持てば、まぐれで《マネジメントがヒットする》こともあり得るのです。しかも、決算書は毎年変わる経営環境とは異なり、基本は一貫しています。苦手意識がなくなれば、自然に理解が深まるものだということです。作れなくても《読む》だけなら、必要な能力を持ち合わせている経営者も少なくはないでしょう。

7.マネジメントを機能させる《4つの力》とは

もし、決算がマネジメントの基本ツールだと感じていないなら、予算や経営計画あるいは収支見通しや資金管理、更には投資回収プラン等に意識が向くはずもありません。決算内容にある程度でも親しむことがないなら、マネジメントを支える力である《目標設定力》《進捗管理力》《危機察知力》《行動修正力》など、手に入れることは不可能なのです。
こう言ってよければ、中堅中小企業の役員会が、ある種の儀式に見えてしまうのは、上記の4つの力を身に付けようとしないまま、ビジネス課題に取り組んでいるからなのではないでしょうか。

8.ではマネジメントの本姿はどのようなものか

では、マネジメントの本姿はどのようなものなのでしょうか。それを一口に言うなら、《目標あるいは期待値達成力》だと言えると思います。達成する力こそがマネジメントで、その力があるからこそ、《適切な目標設定》ができるようになるということです。
そしてその《目標あるいは期待値達成力》の表れが、上記の《目標設定力》《進捗管理力》《危機察知力》《行動修正力》なのだと思います。

9.毎年蓄積を続ける宝の山に目を向けるべき時

中堅中小企業の経営陣が、より効果的に自社のパワーを強化獲得に向ける第一歩は、事業の決算機能が《宝の山》だと実感することなのかも知れません。バットを持たずにバッターボックスに立って、『手も足も出なかった。やはりうちの事業規模では無理だ』と言わず、まず《毎年蓄積を続ける宝の山》に、それが読めても読めなくても、目を向けるべきだということです。
そんな発想から、会計事務所が企業経営者の集まりや社内の役員会で《語るセミナー》を作って、既に5年が立ちます。毎年、少しずつ普及していることに先行きへの期待感を抱きますが、今や《少し急いだ方が良いかも知れない》と感じる事態が増えたので、改めて《趣旨》を、お伝えすることと致しました。

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