表現が適切ではないかも知れませんが、経営知識に乏しく見える経営者が、時として見事な事業を組み上げることがあります。しかし、それは決して不思議なことではないでしょう。経営には、《知識よりも大事なもの》があるからです。

1.優れた知識でも過去の産物でしかない?

知識は、それがどんなに優れたものでも、過去の出来事の集大成だと言えます。もちろん、それは《経験知》であり生きて行く上でもビジネスでも、非常に重要なものであるに違いありません。
しかし、あくまで《過去の産物》でしかないのです。それ故、あまり知識にこだわり過ぎると、次々に新しい《出来事》が発生するような場合には邪魔になることさえあり得るのです。頭を柔らかくすべき時に、知識が《強固な先入観》に化けてしまうケースがあり得るということです。

2.センスは《目前の事態》を感じ取る能力

では《センス》とは、どのようなものなのでしょうか。それを一口に言うなら、《今起こっている出来事の実態や実際を感じ取る力》だと言えそうなのです。《知識の辞書》を引くのではなく、《目の前の現実を感じ取る》のがセンスなのです。
そのため、継続こそが命である環境下では、センスは余計な《たわごと》を生みやすく、知識こそが経営パワーの源になりやすいという側面も持っているとも言えるわけです。

3.求められるのはセンスと知識の役割分担

どちらも大事ですが、今、より求められるのは《知識》でしょうか《センス》でしょうか。
二者択一のような言い方をした後では申し上げにくいのですが、今求められるのは《センスが主導し、知識がそれをサポートする》という思考パターンではないかと思います。
つまり、たとえばMASの指導をする際には、経営者に、計画経営や資金管理等の手法(知識)を教える前に経営者の《センス》を引き出すことが、非常に重要となるのです。

4.知識の提供は今必要なMASではない?

MASの指導に際しては、歴史的に完成された指導手法が、今この時の《センス》に合致しているかどうかを、こう言ってよければ、いちいちチェックしなければなりません。それは、とても面倒ですし、場合によっては時間の浪費になり得るでしょう。
そのため、今求められるMASでは、経営者のセンスを引き出し、そのセンスが求める《手法》や《知識》だけを提供するという柔軟な姿勢が効果的で効率的だと言えそうなのです。

5.経営者から《センス》を引き出す方法!

では、経営者から《どのように》して《どんなセンス》を引き出せば、これまで蓄積して来た《プロの知識や見識》《双方の利益》に繋げ得るのでしょうか。双方とは、もちろん企業と会計事務所です。
視点は様々に存在するとは言え、最も重要なことは、《センスは問題意識や疑問に現れる》という現実だと思います。経営者や経営管理担当者の、『おかしいな』とか『もっと深く知りたい(把握が甘い)』とか『何とかしたい』という思いの裏に、その人なりの《センス》が隠れているということです。

6.センスは知識の支援なしには完結しない

ただ、その『おかしいな』を、たとえアバウトでも《数値で把握する》ところに、知識パワーの働きがあります。しかも《数値》は、問題の分析結果を表すに留まらず、そのまま《改善すべき程度》の目安にもなり得るため、それが《目標》となって改善活動を始められるわけです。
では、企業経営には《センス》が求められる一方で、会計事務所業務は《知識》だけしか求められないのでしょうか。

7.先生方の見識を活かすのもセンスの役割

もちろん、そうではないでしょう。先生方が『おかしいな』を《数値で表現する》ためには、知識以前に《こうではないだろうか》という仮説を感じ取る《センス》が必要になることが多いからです。
逆に言うと、経営問題に対して解決策を提供するのではなく、経営陣の疑問に付き合って、一緒に考え、《それを数値で表そうとする》ところに、現代的なMASの本性があると捉えられるのです。体系的なノウハウを教えたり適用したりする前に、経営上の疑問等を後追いしながら、それをアバウトでも、そして多々修正を加えながらでも《数値》に置き直してみるセンスが、今日のMASの起点になるということです。

8.問題を数値化したら解決への道が開ける

確かに、深い専門知識と責任を持って経営支援を行う会計事務所業務では、センスやアバウトな数値は不適切に見えるかも知れません、しかし、問題の前に立ち止まってしまっている経営者には、たとえば『それは、原価のこの部分をこれだけ削減するか、価格をこれだけ上げるかという課題だ』と《翻訳》されるだけで、活路が見え始めることが多いでしょう。
問題解決の糸口は問題自体を具体的に把握することであり、具体的とは《数値による表現》に他ならないからです。

9.激動に対抗し得るピンポイント発想とは

いずれにしましても、過去に完成した経営手法を経営陣に教え込むことがMASではなく、経営陣が問題を感じ取り、先生方が『その問題はこんな数値に出ている』と感じとれるところを、ピンポイントでもいいから掘り下げて行くところに、激しい環境下でのMASが存在し得ると言えそうなのです。
『いやあ、高齢化した経営者の環境は何も変化していない』と言えるでしょうか。経営者は、高齢化するだけで従来の当たり前の経営環境について行けなくなります。仮に環境が同じだとしても、経営者の環境への関わり方は激変を続けるのです。
そんな意味で、ピンポイントでの問題と数値表現を感じ取るところから始めて、数値を提示することを、有料MASビジネスと呼ぶべき時に、今来ているのだと思います。

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